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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第15章 命の・・・重さ
「スカートの中は全て取って

下着も全部脱いで

内診台に座って下さい」



『・・・』

これはこういう
マニュアルというか
義務付けられてるのかな?


かかりつけだったクリニックも
それ以外でも


そして初めて来た
この病院でも



必ずと言ってイイくらい
キッチリと
こう指示をされる。



そしてその言葉が
より一層
緊張で私の動きを鈍らせるのだ。



間違いのないように
的確に言ってくれてる
親切心なのだろうけど



そう言われると
余計に構えて
緊張してしまう


…なんていう私は

ただのワガママな患者?



細かく言うと
緊張して貧血を起こしそうになって
手足が冷たくなるんだ。



だけど
不調を訴えて
受診してるのは私だから・・・


「イヤだ」なんて言えないのは
・・・当たり前。




指示をすると看護師はすぐに
カーテンの向こうに去っていく。




取り残された私は
指示された通りに
支度をして


その奇妙なカタチの
診察用の椅子に
腰かけるのだけど…




・・・。




何度見ても見慣れない


…仲良くなれない





薄ピンク色だったり
淡い優しい色で出来た
清潔そうな診察用の椅子




下着を脱いで
スカートをめくり

お尻が椅子に直に着くようにして
座らなければならない。


ずっと前、スカートで
お尻を隠して座って
とても叱られた事があった…



浅く腰かけるカタチの椅子


両脚を膝の裏から
支えるように
脚置き場が2つあって
そこに脚を乗せるようにして座る




自分の脚の震えで
カタカタと微妙に動く
その脚受けの不安定な作りが
どうにも恐さをあおる。



椅子の前はカーテンで
ぴっちりと仕切られていて
こちらの様子は下半身以外は見えない



看護師によっては
診察を待つ間

バスタオルをかけてくれたりする
親切な人もいるけど




そんな椅子に座って
スカートをなるべく
引っ張って伸ばして

前だけはなんとか
隠している






「ハイ、それでは
診察始まりますからね

台が動きますよ?

そのまま〃楽にして〃座って
いて下さいね」






看護師さんが
穏やかな声色で

中々の難しい事を指示をする。







…こわい。






…だって、すごくこわいんだもん。
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