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第15章 命の・・・重さ

『産まないよ・・・』





俺の言葉を遮って
マリアはハッキリこう言った。



『・・・え』

『やだな・・・当たり前じゃん』





あまり俺の方を見ず
ひきつりながら笑って答える。







『・・・・・・堕ろすのか？』







『・・・・・・』








マリアが手に持って
整理しかけてた書類…






母子手帳の交付の説明…


それから






中絶手術の・・・同意書。





・・・・・・。



産むか・・・産まないか


その選択を迫る書類。






俺はそっと手を伸ばして
マリアの手からそれらを抜き取った。






『・・・よく考えて、決めてから
また病院に来るように…って』



『・・・マリア、だったら』




『産まないよ・・・っ』






『・・・』





『・・・・・・産めないよ』






『・・・』








『こんな状況で・・・

産めるわけ・・・ないじゃん』







こんな状況・・・



マリアの言う

〃こんな状況〃と言うのは

多くの人が思うより…うんと
様々で複雑な


重く・・・難解な


〃こんな状況〃…なんだ。





それは…その事実だけは

悲しいかな、俺にもわかっている。








『今、産んだって…育てられない』








離婚協議中のマリアにとって

まず一番に…念頭に出る問題。






『〃話〃も…全部狂っちゃう』






話・・・




これが…最も困難で且つ



マリアを苦しめる要因と
言えると思う。




普通の夫婦だったら

普通に産んで育てりゃいい…。

経済的な理由とかさ、諸々あってもさ
やっぱ嬉しいことで、共に喜ぶ事だ。





普通のカップルだったら？

予定違うぜ～順番違うぜ～!?
マジかよ～!?…とか言いながら

できちゃった結婚…とかしてもいいから
一緒になって、産んで育てりゃいい…。








それが・・・出来ない





２つに１つ…と

二者択一が成立しない




どちらにも…なれない






『でも…マリア？』





もうひとつ・・・問題になる事。




























『俺の子じゃ・・・ないの？』