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第16章 瞬間(とき)の・・・悪戯

「ではまた来月来て下さいね
くれぐれも無理はしないように」


『はい・・・ありがとうございました』




健診を終えた私は

ようやく病院を出る。





あぁ、こんな時間だ・・・




ゆうちゃん
待ちくたびれてるだろうな

申し訳ないや…早く行こう。



私は保険証や母子手帳を
バックにしまう手間も惜しんで
少し駆け足で出口に向かう。



病院の総合案内・・・


色んな患者さんや
お見舞いに来ている人…
多くの人でごった返す


病院だから…仕方ない
色んな人が出入りする





けど…風邪とか病気

もらわないように気をつけないとな



この子を守れるのは私しかいないもんね




総合案内の人混みを避けるように
私は足早に出口を目指す。







ドン……っ





『ぁ・・・っ』





いけない・・・





お見舞い客らしき人に
ぶつかってしまった






バサッ・・・




手に持ったままの母子手帳が
床に落ちた





『ごめんなさい…』

『・・・』



私はぶつかった相手に謝罪し
母子手帳を拾い上げる



良かった…汚れたりしなかった





『すみません…』



もう一度謝って、一礼し
出口に向かう



『・・・』



無言・・・


ぶつかって来たのは
そっちも一緒なのに感じ悪いなぁ



まぁ…いいけど



仕事とか電車とか
何かと妊婦に厳しい目を向ける人は
残念ながら少なくないみたいだし


風邪なんかもらったら嫌だもの
早く


あ・・・

ゆうちゃん待たせてるんだった

(苦笑)




私は足を進める








『・・・・・・ちょっと？』




『・・・っ』





え？・・・




肩を・・・掴まれた





何・・・？





否応なしに振り向く私は・・・








『・・・・・・・・・』









手渡されたのは

私の診察券







『・・・・・・・・・』