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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第16章 瞬間(とき)の・・・悪戯
『っはなして・・・はなしてよっ!』


『大声で騒ぐな!…落ち着けっ!
話をするんだ、まりあっ!』






『話なら弁護士を通じて話をしてって!
なんどもお願いしてるじゃないっ
どうして全部無視してるのよ!』



『そんな事はお前が勝手にしたことだ!
勝手に出ていって書類だけ送り付けて
何が話し合いだ!いい加減にしろ!!
いいから来るんだ…!』






ついにはマリアも大声をあげて
辺りはより一層ザワつきだした







『あなたと直接話したりは出来ないの…っ
不服があるなら…調停なり、なんなり
申し立てをして…っ』









『っ…いい加減にっ・・・~しろっ!!!』







パン・・・ッ







『・・・っっ!』



ピシャリとデカイ音を立てて…


頭に血が昇ったように男が
マリアの頬を力任せに叩いた









『・・・・・・』



俺…動転しまくってるぜ

そりゃそうだろ?


ぶっちゃけたらどうしていいか
わかんねぇぜ





だけど・・・どうにかしねぇと


残念ながら俺は
傍観して知らんぷりしたり

野次馬と一緒になってるワケには
いかねぇんだよ



今・・・この場で


俺だけは、そういう立場じゃねぇから…







どうする・・・



ただ飛び出してくワケにはいかねぇ



いや・・・案外通りすがりの野次馬のフリして
普通に仲裁に入る感じで?



いや・・・マズイ、絶対に





「ねぇ、やっぱ警察呼ぶ?」

「あー・・・うん、かな?」





うるせぇ野次馬…

ジロジロみて騒いでんなら

最初から呼んでやれよ





今から呼んだって

間に合わねぇっての





どうする・・・どうする・・・




・・・ん?


・・・。














『ぁ・・・すんませーん?』


「~~ほぇ?」





『ちょぉっと・・・借りてもいいすか?』






俺は帽子を深くかぶり直した
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