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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第18章 捕らえられた・・・かごのとり
『マリア・・・ほら行くよ』


マリアの腰を縛った紐を持って
俺は再びベランダに出る



『待って・・・もう少し…』




マリアはシーツとカーテンで作った
長い紐を持ってベランダに立つ







『マリア・・・そっちのが危ないって』


『・・・』





『お前の重さくらいならそれで
耐えれるかもしんねぇけど・・・?

それこそ人目について
ヤバいんじゃねぇの?』





俺の制止を聞かず
マリアは紐の先端を
ベランダにくくりつけた






『マリア・・・』





『わかってる・・・そうじゃない』






『・・・?』







『私が〃一人で〃逃げた…って
形跡があればいいの・・・』







『・・・』







『私以外の誰かが…ここにいた

それが…疑われなければそれで』








・・・こいつ、また


こんな時だけ…


無駄に冷静になりやがって








そしてマリアは

妙な事も口走る・・・







『ぁ・・・でも、しない方がいいのかな』





ブツブツなんかいい始める






『マリア・・・怖いだろうけどな

〃すぐそこ〃だ…一瞬だから

な?・・・早く行こうぜ』











『・・・つ、次に』




『うん・・・?』





『手段がバレたら…〃次に〃こうなった時に

もっとひどいこと・・・っ~~』





マリアは一人言みたいにブツブツ言って
頭を抱えて震えだした






『マリア・・・』




『どうやって出たか、わかんない方が…

でも……そしたら何か疑われるかも

ブツブツ・・・』





『・・・』





小動物みたいに震えるマリア・・・





〃『次』〃・・・



マリアが不意に口走った言葉



マリアは・・・あの男に

心の奥底から支配され続けてる

俺はそう思った





逃げても逃げても
あの男の手の中にいるかのような

努力しても努力しても
自由になれない

逃げても…また、あの人に捕まる



マリアは潜在的に
そう思っているのだろうか



ここにいたら…マリアは

そんな〃洗脳〃されたような

悲しいマリアに…一気に戻ってしまう


やつれたマリアを見て
俺はそう思った
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