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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第18章 捕らえられた・・・かごのとり
マリアは呟いて立ち止まってしまった

目を閉じてブルブル震えている

せっかく過ぎた配水管に腕を伸ばして
しがみついてしまった




『オイ、マリア…!戻るなって』



『こわい・・・こわいっ、落ちちゃうっ』









『マリア……!こっち向いて』






『こわい・・・』







『マリア…頑張れ。もう一回だけ

俺の方むいて?・・・』





『・・・っ』





俺は手の汗を拭いながら
右手のロープをきつく握り直した







『マリア…落ちても大丈夫だから』





『・・・っ。??』








俺はロープを握りしめた右手を
再びマリアに見せて両手で
持つ仕草をした






『滑っても…コケても・・・落ちても

引き上げてやるから・・・!』






『・・・』







『腕もげても・・・はなさねぇから』













『・・・もげたら・・・はなれるじゃん』







『ぷっ・・・だな?(笑)』






『・・・~』








『それでも…はなさねぇから』







『・・・』







マリアが再び俺の方を向いた








『下見るな・・・俺の方見ろ、もう少し』






少しでも早く
マリアの手が届くように
俺は左手を伸ばして待つ





平地で歩けば
たかが2…3歩

せいぜい3、4歩の距離が
こんなにも長く感じられたのは
この時だけだろうな









足場をつたって来る

マリアに手が・・・届く











『・・・よし…っ』








ギュっ……






汗で滑りそうな
俺の左手とマリアの右手が
繋がった





『っ……ゆぅちゃんっ』





急いでマリアを
そのまま抱き上げるように
非常階段に引き入れた







『よっしゃ……!頑張ったなマリア』




『~~っ…』





マリアがその場にガクガクっと
崩れ落ちた





『ゆぅちゃん・・・すごい汗』



『ん?・・・あぁ、お前もな(笑)』





自分でも気づかない程
Tシャツは汗でびっしりにじんでいた






『ゆぅちゃんも…怖かったの?』



『たりめぇーだろっ…(苦笑)』





正確にはマリアが渡る時に
一番冷や汗出たと思うがな…(汗)
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