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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第23章 逃避行・・・
『・・・バカヤロ』



逃れるようにベットから降りて
泣き崩れたマリアを
後ろからそっと抱きしめた







『 っ…っ…っ…私に・・・さわらないで』





『・・・』





『ゆぅちゃんを汚したくない』









『・・・。・・・』






マリアの一言を最後に


長い・・・長い沈黙が流れた







『…っ、…・・・グスっ』



背を向けたマリアが
涙でも拭ったような…鼻をすする音がした





『…グス…、ふふ・・・さて、と』


『・・・?』





マリアが少し身をよじらせて
俺の腕からはなれた





『…あなたの…言うとおり
〃年増の売春オンナ〃を相手にしてくれる

貴重な〃お客様〃だもんね
有難いと思わなくちゃ…』




『マリア・・・?』




マリアはそのまま
俺が投げつけた金を丁寧に拾い始めた


トントン・・・


残らず拾って
札の顔をキレイに揃えて
俺に・・・返してくる





『仰る通り…〃ビジネス〃だから
無償って訳にはいかないけど
お金は…いらないや』





ニコ・・・って、なんだよ

そのニコって笑顔…





『ごめんなさい…〃お客さん〃…
今日はちょっと〃疲れちゃった〃から…

大した〃サービス〃出来なそうだから
お金は結構です
代わりに…なんでも…いいの

ここ朝まで寝てても良いんでしょう?
それだけで有難いから

ん~…そうだな、あとごはん
食べさせてくれたら嬉しいかな♪

牛丼(笑)~あ、コンビニのお弁当のが
有難いかな♪明日の朝ごはんにするから』





『・・・』






『それで…いいですか?…〃お客さん〃』






マリアの〃言葉〃が
一々、俺に
要らぬ想像をさせる


知らないオヤジに…こんな風に
愛想笑いして・・・抱かれて

そんなマリアの過ごした〃一日〃を
想像する俺は


どうしようもなくモヤモヤして
泣きたくなっていた
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