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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第23章 逃避行・・・
マリアであって…マリアじゃない



マリアじゃないけど

所々…発する言葉が

その人となりを嫌でも思わせる




謙虚で…素朴で

無駄に・・・クソ真面目でさ




確かにマリアがそこにいた


俺の・・・目の前に





『うふふ・・・お客さん?
シャワーお先にどうぞ』




『・・・』






ガサゴソ…




マリアは俺に言いながら
持ってきたコンビニの袋を
広げていた





『あ、ごめんなさい?
私その間だけ〃休憩〃していいですか?
今日は〃忙しかった〃の』







そう言って袋から出てきたのは




コンビニのおにぎり・・・たったひとつ









『・・・』





心臓がわしづかみにされたみたいに
心が締め付けられた






『お腹すいちゃった…♪
〃食事〃させてください』







〃忙しかった〃…わりに

随分と荒んだ食生活・・・




・・・食事って

〃ソレ〃が…かよ







『イタダキマス・・・』





小声で…俺に姿をはばかるように
ちっこいおにぎりに
丁寧に両手を合わせてから
ビニールを剥いでるマリア…





パリパリ・・・




おにぎりの海苔をかじる音がして
マリアのちっちぇ口が
小動物みてぇに…

リスみてぇに
モグモグ動いてる





別人みたいな姿…

そんな中に見える

見慣れた…変わらない姿…仕草




『〃忙しかった〃んなら…
もう少しくらい、イイモン食えよ』





言葉を無くしそうだった俺は
半ばやけくそに言葉を投げた







『・・・。贅沢言ってられないの』





『・・・』









『そんな…必要もないし
そんなに食べたいとも思わない』




『・・・』






『~ちゃんと働いた後なら…
ごはんもとっても美味しいけどね』







言われた事に答えるだけ
聞かれた事に答えただけ

なのに…

マリアの何の気なしであろう言葉が
俺にはザクザクと突き刺さるんだ
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