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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第23章 逃避行・・・
腫れてこそいないが

治りきっていない

そんな傷の数々



何も言えなかった

聞けなかった




どうした?

どうしたもこうしたもない



腫れていない…だからこそ余計に

ここ最近に負った傷でないこともわかる




というか…聞かずともわかる





例えオヤジに体を売ったって

こんな怪我を負わされることは

考えられない






働くどころか…これじゃ

人並みに表に出ることさえ

出来なかったのは当然だ






痛みを堪えて

逃げて・・・逃げて・・・





たどり着いた場所と…決断






当然ながら、マリアが望んだワケでも

怠慢したワケでもなければ

自暴自棄でも・・・ない






傷だらけの体を引きずってでも

〃外〃に逃げ出さなければ

生きていく事さえも出来なかったんだ






治らない傷を
別人みたいな厚化粧でもしないと
隠れない傷を負ったまま
行く当てもなく…飛び出した





そんな・・・マリアの真実





俺は…どことなくわかっていながらも


自分のやりきれなさだとか悔しさ
そんな感情をもてあまして

そんなもんでマリアに
罵声を浴びせた自分を

本気で恥じた




と言うか
マリアに土下座したくなった



同じように…罪を

二人で罪を犯した



責められるべきは…重きは俺にある

にも関わらず

結局…散々に


あらゆる意味でボロボロになったのは


マリアだけだ・・・








詫びても・・・詫びきれない





『・・・痛むか?』





俺が声をかけられたのは
この一言だけだった




マリアはだまって首を振った
















あとな…もうひとつ


これは


これが、ある意味
一番痛々しいって言っても
過言じゃないかもしれない





マリアの異変…そりゃ言うまでもねぇけど



俺が途中から感じてた


なんとなくわかってた…気づいてた



マリアの異変の中の・・・異変
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