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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第23章 逃避行・・・
『着替え…ねぇのかよ』


風呂から出てもマリアは同じ服を着ていた





『荷物・・・そんだけ?』



顎をしゃくり上げて
マリアがコインロッカーから出していた
トートバッグを差して聞いた




『夏は…薄着だからね』





最低限の荷物を押し込んだ…

そんな様子の見てとれる手荷物





『冬に…なったらどーすんだよ』



『~…その頃には、住めるとこが
見つかるといいかな』




計画性も何もない…見通しの立たない言葉


それはそうだ


飛び出して来たんだから・・・













マリアが望むことは・・・何だろう



そのために

俺が出来ることは何だろう



結局、重荷になるのなら…





俺が下手を打って…

またマリアを苦しめるなら


ここまでズタボロのマリアから

これ以上何かを奪う事になるなら


黙って身を引くことが


せめて何もしないことが


唯一、俺の〃出来ること〃かもしれない





答えなんか・・・見つからなかった



答えなんか・・・どこにもなかった





だけど・・・俺は








『ゆぅちゃん…帰らないの?
終電まだあるんじゃない・・・』





マリアはベットに潜って
布団かぶり始めた






『俺の…勝手だろぉが』





『ふふ…それもそうだね

今日はありがとう…お客さん

それじゃ…おやすみなさい』











マリアは素顔の……相変わらずの
幼顔で、そっと目を閉じる






『・・・寝るな』






『・・・?』





俺はマリアのかぶった布団を
めくりあげた





『起きろ・・・』











それでも・・・俺は





背を向けて去ることは
出来ないだろうな







『なぁに……やっぱり〃する〃の…?

べつにいーよ…そっちがいいならね』







マリアは気だるそうに
目をこすって体を起こした






俺の…することを

俺の選ぶ道を


俺の…望むことを

マリアが望んでくれるかどうかは

わからない






だけど・・・俺は










『マリア・・・荷物持って』




『・・・は?』
















『行くぞ・・・』
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