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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第25章 二人の部屋・・・
『ごちそうさま、うまかった!』



マリアの作ってくれた料理を
平らげて空になった皿に手を合わせる




『良かったぁ
ねぇ、ゆぅちゃん
アイス食べたい♪』



『散歩ついでに買いに行くか♪』




基本的に控えてた外出も自由に…

むしろ多めに…

マンションを出入りしていた






『やっべぇ蝉の声うっせ~~(笑)』





『必死に生きてるんだよ♪…

・・・〃あたし達〃と一緒』




マリアの言葉は…一々重みがあって

一々…まっすぐだ

・・・キライじゃないけどな(笑)






人目につかないのを良いことに…



て言うか…どちらからともなく自然に


手を繋いで


一々くっついて歩いてた




お互いを…好きだと言って

手を取り合って…並んで歩く




たったそれだけのこと・・・




そんな…そのへんの、どこにでもいる
沢山のカップルが

出来て当たり前のことが
出来なかった俺たちは




まるで永遠の自由でも手にいれたかのように

同じ空気を吸い…同じぬくもりを感じて



一々楽しくて・・・一々幸せだった






『あれ…八百屋さんやってるよ?』

『盆休み返上か?珍しいな』



「いらっしゃぁいっ~!」



田舎らしいやたら元気で明るい
八百屋のオッチャンに迎えられる





『ふふっ…決めた♪明日はカレー』



『いいな♪敢えて辛いの行こうぜ』






『ふふっ…作るのゆぅちゃんね?(笑)』



『~~マジかよ(笑)』





『だって美味しいんだもん♪』





そんな俺らを見てか
店主のオッチャンはガハガハと
笑っていた





「仲良しでいいねぇ~~!!
新婚さんかぇ?」








・・・。






『えっ・・・?』

『・・・?』






ドキッ…っとして
咄嗟に

繋いでた手を、お互いにパッと
はなしてしまった




少しばかり悲しい…クセかもな
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