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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第25章 二人の部屋・・・
『マリア・・・行こうか』

『うん・・・』



俺とマリアは結局…時間ギリギリ

ギリギリの時が許すまで

現地に留まった




内心じゃ二人とも
惜しみに惜しみながら


数日間…一緒に〃暮らした〃
二人の部屋をあとにした





『・・・』

『・・・楽しかった』




駅へと向かう道で
沈黙した俺に

マリアがさりげなく
つぶやいた





『長いようで…あっという間

あっという間だったけど中身がいっぱいで

夢みたいで、すごく贅沢な旅行みたいで…』




『ふふ・・・うん、そうだな』




限られた時間が
やっぱり惜しかった




そんな俺たちは
常に〃一緒に何か〃をしていた



手を繋いで歩く・・・ただそれだけだったり


なんてことない話をしたり


何もせずにいる時間は


一秒たりともなかったと思う







『マリア・・・いいのか?…連絡』


『うん・・・ムコウで…するよ』



急かす訳ではないが
マリアに確かめた


ルートもややこしいし
何よりは、心配だから
直行はやめて


結局マリアと一緒に戻って
マリアが両親に連絡してから

翌日を目標に
マリアは実家に帰る

そんな算段にしていた




それまで…少しでも長く
一緒にいたかっただけかも知れないけど…な




『新幹線…席とれるかな?』

『指定は厳しいかもな?・・・あ~
いっそ在来線にするか?』





『???・・・でも
着くの・・・すっごく遅くなっちゃうんじゃ』


『・・・』




・・・。




『ゆったり…帰るのも悪くないよね…♪?』



どこからともなく
どちらからともなく

この地をはなれるのを
避けていた

マリアは翌日に仕事を控える俺を
気にかけていたけど

いつになく…浮かない
寂しげな顔をしてるように見えた



そんな俺とマリアは
わざわざ(?)新幹線を逃して

鈍行で・・・のんびり
また長旅でもするように
電車に乗った




『また・・・一緒に来たいな』

『来ようぜ・・・♪全部、笑い話にしてさ』




駅のホームに並んで
数日過ごした田舎街を見下ろした



名残惜しかった
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