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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第25章 二人の部屋・・・
『ねぇゆぅちゃん?♪何が一番楽しかった?』


『結構ムズカシイ質問だな?(笑)』




電車の端っこの二人掛けの席…

来たときのように並んで

寄り添って座る




『じゃ・・・一番の、思い出は?』


『ん~~…』




ジェットコースターみたいな
数日間を二人で振り返っていた



『私は・・・〃コレ〃…かな』





そんな中マリアが
微笑んで右手をかざして見せた





『・・・』


『毎日…一分一秒が幸せで楽しかった

思い出もいっぱい・・・だけど

コレが・・・一番の思い出かな』




マリアの薬指に光る指輪

おそろいの・・・指輪





『ねぇねぇ…ゆぅちゃん

コレ・・・外さないよね?(笑)』




『え?・・・あ、…あ~~、あぁ』




『ふふふっ』




マリアはなんか
〃わかってる〃って風に笑う




『指輪のお返し…には程遠いけど

コレ・・・あげるっ』



『???』




マリアが差し出すのは
何か…アクセサリーみたいな小袋

続いてマリアが〃自分の分〃と言うように
同じ小袋を出して見せた





ジャラ・・・



中からは…なんの飾りもないネックレス(?)




ネックレスのチェーンが出てきた




『マリア・・・これ?』



『ゆぅちゃん…お仕事には
つけていけなそうだから・・・』




そう言ってマリアが
俺の右手のリングをそっと抜いて

チェーンに通すと
首にかけてくれた




『つけられないとき…こうしてたい』





なるほど・・・確かにな




つけられない時も
つけていられるな




マリアのチェーンを手にとって
マリアの分は俺がマリアの首にかけた



『ふふっ・・・おそろい♪』



マリアがペンダントトップ…つまり
指輪を持って微笑み

俺のリングに重ねるように
コツンと音を立てて触れると

指輪を服の中…内側に
そっとしまいこんだ

どこに行くにも…どんな服でも
程よく襟元に隠れる長さのチェーン


マリアのは少し華奢な女っぽいもの
俺のは少し男っぽいしっかりしたもの


おそろい・・・ペアリングは
おそろいのネックレスになって

お互いの胸元に
ひっそり・・・ぴったりとくっついていた
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