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第26章 運命は・・・先着順？

誰しも耳にした事はあるんじゃねぇの？

〃女の嫉妬は醜い〃

だとかってさ…


言わば、分かりやすくて
顕著で…ついでに飽きっぽい？

(何て言うと苦情が来るか…？)




反してさ…

よく言うだろ？

てか、秘密裏に言うだろ？ってとこか


男の嫉妬心・・・ってのは

めちゃくちゃ〃根深い〃ってな・・・




この日の俺は、正にそれだった



どうにも曲げられないその事実に


底知れぬ嫉妬心が湧く




言葉にも…表面にも出さない

・・・出せない



俺の中で業火のこどく…

燻(くすぶ)るマグマのように

煮えたぎっている嫉妬心






マリアと出逢って…彼女に惹かれてから




俺の中には、消えないその事実に対する

この男に対する

どうにも曲げようのない嫉妬心が

いつも燻っていた





〃どうして・・・この男が・・・〃









「お二方・・・署名、捺印をお願い致します」



動こうとしないマリアに…

そして併せて俺にも

弁護士が催促をする





うなだれるようにうつむいているマリアを
ヤツはひたすら…寛大に待っている

…ような素振りで接している





ゴールドメダリスト確定の
完璧な演技を披露したソイツは

余裕さえも感じられる
広い心そのもので、そこに鎮座していた






「篠宮さんは…署名が済みましたら
そのまま、先にお帰り頂いて結構です」




マリア側の様子を見た弁護士が
先に俺に強く催促してきた





『・・・～～・・・ユウト』




俺の母親が、不安げに
焦りを見せて俺を促した





『・・・。・・・』





俺は…その

マリアとの〃永遠の別れ〃を約束する

無機質な書類を眺めて

一息ついた






カサ・・・






その薄っぺらな

紙キレを…持ち上げて













『・・・お断りします』












俺は…その紙キレを

そばにいた弁護士の秘書に向けて

突っ返した・・・








ガタタっ・・・！！




『っ・・・ユウトっ！？』





母親があわてふためいて立ち上がる




『同意出来ませんので…お返しします』








ザワっ…















『この誓約書には・・・サイン出来ません』