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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第27章 飛べない鳥・・・
『フゥ・・・』
キッチンの換気扇の前で
静かに深呼吸をする
対面キッチン・・・
リビングに私を監視する夫がいれば
唯一の隠れ場所
ガチャ…
『まりあ・・・どこにいく?』
リビングのドアを開けただけなのに…
『・・・洗濯…しないと』
息苦しいどころの話ではない
『・・・』
『・・・』
ガチャ…
リビングのドアをくぐり
夫の目の届かない場所に行く
僅かな時間
『・・・』
洗濯機のスイッチを入れて
なんとなく…その場に立っていた
電源を入れられれば
文句も言わず
黙ってただただ
同じ動きをする洗濯機
私には…そんな
無機質に機械音を立てる家電品と
毎日閉鎖空間でただ生きている自分が
大差のない
同じ〃物〃のように感じられた
ただ…持ち主の望むように
ただ…言うとおりに
感情も持たずに…同じ仕事をする
あって当たり前で
やって当たり前で
いて当たり前で
代わりなんていくらでもいる
そんな・・・物や道具と
大差なんてない
この男にとって・・・私は
いくらでも代わりの利く
道具のひとつに過ぎない
あの日・・・彼といるところを押さえられて
この…牢獄のような家に
連れ戻された私は
今…そんな風に
家具や家電のように
ただ…ここにいる
キッチンの換気扇の前で
静かに深呼吸をする
対面キッチン・・・
リビングに私を監視する夫がいれば
唯一の隠れ場所
ガチャ…
『まりあ・・・どこにいく?』
リビングのドアを開けただけなのに…
『・・・洗濯…しないと』
息苦しいどころの話ではない
『・・・』
『・・・』
ガチャ…
リビングのドアをくぐり
夫の目の届かない場所に行く
僅かな時間
『・・・』
洗濯機のスイッチを入れて
なんとなく…その場に立っていた
電源を入れられれば
文句も言わず
黙ってただただ
同じ動きをする洗濯機
私には…そんな
無機質に機械音を立てる家電品と
毎日閉鎖空間でただ生きている自分が
大差のない
同じ〃物〃のように感じられた
ただ…持ち主の望むように
ただ…言うとおりに
感情も持たずに…同じ仕事をする
あって当たり前で
やって当たり前で
いて当たり前で
代わりなんていくらでもいる
そんな・・・物や道具と
大差なんてない
この男にとって・・・私は
いくらでも代わりの利く
道具のひとつに過ぎない
あの日・・・彼といるところを押さえられて
この…牢獄のような家に
連れ戻された私は
今…そんな風に
家具や家電のように
ただ…ここにいる