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第27章 飛べない鳥・・・

私は壁についた
インターホンの画面の真向かいで

震える人差し指を
通話ボタンに中々当てられずに立っていた




『・・・な』



〃なんで・・・？！〃










画面に映るのは

最も思いがけない訪問者








残暑も厳しい気温の中

黒いスーツに身を包んだ・・・あの人








優人が・・・映っていた







どういうことなの・・・！？






私の中で、数え切れないような

いくつもの感情がごちゃごちゃと

めぐっては溢れ出る





『っ・・・』



私は点滅し続ける通話ボタンを

押せなかった






プツ…っ





通話が切れた・・・







ホッとした・・・？





それとも・・・・・・



・・・




『・・・』












ピンポーン・・・








『・・・っ』



びくっ…



再び呼び出し音が鳴り


画面には同じ人物が映る






ﾋﾟｯ・・・







私は通話ボタンを押して

遂に応答した




居留守なんて使って

カズキに不審がられたら…

何より

カズキに気付かれたら…おしまいだ










『は・・・ぃ』








夫から恐怖を受けた震えと

驚いて起こる震えとで

声までもガタガタに震えていた












〃『マリア・・・？』〃








『・・・っ』




インターホンごしのその声は

応対したのが私だとわかってるようだ






〃『・・・開けて』〃






ﾄﾞｯｸﾝ……ﾄﾞｯｸﾝ……






なぜ？・・・彼はここにいるんだろう？



そして・・・何を言っているのだろう？






『何言っているの・・・ゆぅちゃん

て言うか・・・なんで・・・っ？』







私はエントランスまで聞こえるか

わからないような小声で問いかけた








わからなかった



初めて・・・本気で



彼の・・・優人の考えてる事が


わからなかった