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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第4章 幸せじゃ・・・ないのかよ?
答えたくなければ
答えないでくれれば良い…


うざがられようが
嫌われようが
それはそれで構わない


俺はどさくさに紛れて
込み入ったことを
聞いていた。


『よくある…って言ってたじゃん?
いつもは……どうしてたの?』


『前は…友達の家に
泊めてもらったりとか』





詳しい事は俺にはわからない

だけど
少なくとも、精神的暴力なら

コイツは十分に受けてるんじゃ
ないだろうか・・・って。




『けど、年々…みんな結婚したり
子どもが出来たりするから。
そゆのも……中々、難しくなって』


『ぶっちゃけ・・・この間さ
どこ行こうとしてたの?』



気まずそうに、目をそらすマリア

まぁ・・・蒸し返されたくは
ないよな。



そしてその様子から察する。

行き場が・・・

〃逃げ場〃が・・・本当に
なかったんだろうな、と。






『言っちゃうとさ……警察に行こうとか
思わなかったワケ?』


『うん・・・』




『どうして?』

『そんな・・・大げさな事じゃ
ないと思うから。』



ちっともそう思えないのは
俺だけか?




『もっと…命に関わることとか
大変な思いしてる人は…
世の中に沢山いる。

そんな家庭の…バカげた
ささいな事で警察の厄介になんか
なれないよ』


『でも・・・さ』





『それに・・・面倒くさいの』


『?・・・』





『警察沙汰になんかして
私を引き取りにくるのは…夫でしょ?

そのあとが…また面倒だから。
一晩、過ぎれば
ほとんどおさまるし

その方が楽なの。
いつもの、ことだから』




だから自分が・・・我慢してれば、って?




『なんかさ・・・そういうの
マヒしてねぇ?』




『さぁ・・・。でも、私…
私が、帰るのは
そこしかないから。
なるべく面倒にしたくないだけ』






俺はそれ以上
何も言えなかった。


逆に
疑惑が確信に変わる思いがして。


この子は
少なくとも、配偶者から
精神的DVだとか

そういうものは受けている。


わかっていて
本人の言うように
やり過ごしてんのか…


それとも
家庭っていう

狭い狭い社会の
独自のルールの中にいて

麻痺しちまって
自覚がないのか

どちらにしても
第三者の俺から見たら
異様な事だ


……夫婦なんだろ?
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