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行こうぜ、相棒
第1章 the kiss on my lists



「いいから脱げよ」

今日はそんなつもりがなかったから…。
最初に脱げ、と言われた時、エリはそう言って、彼のリクエストを断った。
そしたらその男は、ぶっきらぼうにそう言い返したのだ。

それが、気に入らなかった。
普通なら、エリとここまで来たら、全ての男がエリの言うがままになるはずだった。エリが女王様であるかのようにかしずき、処女のように接するはずなのに。

「消してよ。電気」

そういうエリに、男は薄笑いを浮かべて言った。

「気取るなよ。ヤリたくて来たんだろ?」
「そんな風に言われたら、ヤル気も失せるよ」
「いいから脱げって言ってんだよ」

旧市街のランプ通りに面した小さなホテル。利用者の大半はここを連れ込み宿として使っている。とはいえ、行き届いたサービスと清潔な寝具が評判の良いホテルだった。
ここを選んだところまでは良かった。

会って、食事をして。軽くお酒になって。レストランも気取り過ぎるフレンチなどでなく、カジュアルな台湾料理というのも気が利いていた。
国際政治コンサルタントというよく分からない仕事だって、一夜の相手にふさわしい、と思った。多少独善的な物言いはあったけど、それが致命傷になるとは思わなかった。

エリはちいさく唇を噛む。
そしてワザとゆっくりと、スカートをたくし上げた。愛らしい膝小僧。そして白い太もも。
男の目線をしっかり掴んで、釘付けにして。主導権を取り返すつもりだった。

だけど。

「面倒な女だな」

そう言った男は、二歩でエリの目の前に立つと、片手でスカートをたくし上げた。


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