この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
花菱落つ
第7章 廃嫡
「父上の仰ることはわかった。だが考えを改める気はない。私は駿河攻めには反対だ」

 凪は信玄の言葉を漏らさずに義信へ伝えた。それでも義信は頑なに自らの考えを曲げなかった。

「私が賛成すればすぐにでも駿河攻めが始まるだろう。だがこのまま反対していても、父上は私を廃嫡した上で近いうちに駿河に進攻する。駿河にとってはどちらでも大して変わりはない」

 信玄からの言付けは、駿河攻めに賛成すればすぐにでも蟄居を解くが、反対を続けるのであれば廃嫡する、というものだった。

「私が賛成しようが反対しようが、今川の姫である妻とは離縁され、亡くなった虎昌たちも帰ってはこない。父上は私の愛する者たちを、私から根こそぎ奪ってゆかれるのだ。ならばたとえ命を睹しても父上に抵抗し、反対を唱え続けようと思う。それが彼らの思いに報いるたった一つの方法だ」

 凪には何も言えなかった。廃嫡された世子がどのような運命を辿るのか、義信も知らぬ筈がない。それでも愛する者のため、命を賭けて信玄に抗うという義信に掛ける言葉を、凪は持っていなかった。

「父上にはそのように伝えてくれ」
「はい」

 かつて父親を廃し、さらに嫡男までを廃そうとする信玄。政(まつりごと)において親子とは、何の意味も持たないのだと、改めて見せつけられたのだった。
/74ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ