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堕天使 1st gig.
第36章 未来へ
更にその半年先へと読み進めると

「どうすればいいのだ?私は明らかに彼女に惹かれている。今日もマリアがあの深い蒼い瞳で私に微笑みかけると私は彼女を被験者としてではなく、マリアという1人の女性として見てしまう。」

とか随分と話しの流れが変わり始めていた。どうやらマリアとはあの市ノ瀬 理菜の母親だ。市ノ瀬の描写に銀髪、碧眼に透けるような白い肌と彫りの深い顔立ちという文面があり、市ノ瀬がそのマリアと恋に落ちたのだと俺は理解した。

そして市ノ瀬の日記には

「マリアが妊娠してしまった。一体、私はマリアにどうしてやればいいのだ。」

という文面が出て来た。後はひたすらマリアの妊娠の経過のような日記だった。

「マリアが全く食事が取れなくなってしまった。点滴を施したが、彼女がどんどん痩せていく。」

「もうすぐ出産だというのにマリアは食事を全て吐き戻し、私には何もしてやれない。」

などどこかで聞いたような悩みがひたすら綴られ続けていた。そして

「私はマリアを失った。彼女によく似た娘を残しマリアは私の前から去ってしまった。マリア、私は理菜と2人でこれからどうして行けばいいのだ…。マリア…、マリア…、マリア…。」

という文面でこの日記は終わっていた。どうやら無理な出産で理菜を産んだマリアは亡くなったのだと俺は少し背筋に寒気がして恐怖を感じていた。

マリアのアルビノ遺伝をリナが受け継いだ事から太陽光くらいでは火傷はしないが暑さに異常に弱くなったのだと俺は感じていた。

だから、リナが妊娠のつわりにより栄養摂取が出来なくなったのはその遺伝が原因で、その時にリナがもしかしたら美優を残して死んでいたかもしれない事実を俺に叩きつけたその日記に俺は完全に怯えていた。

とにかく市ノ瀬の実験の被験者だったマリアは市ノ瀬と結婚をする事はなく、娘を残した為に市ノ瀬の記録は娘の理菜しか存在しないのだと俺は出来た。

後は2つの日記だが、俺はこれを本当に読むべきかを迷い始めていた。理菜の母親の話しだけでもリナの体調について充分俺には恐怖だった。
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