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堕天使 1st gig.
第36章 未来へ
なのに、市ノ瀬の日記の中ではまるで今も理菜が生きているように書き記されているではないか…。

ただ、俺の首筋にチクチクと針が刺すような痛みが走り、この日記に対して、いや、市ノ瀬 真一という科学者に対しての警戒心が起きていた。

どうなってやがんだ…

そう思った俺だったが、その日記は被検体006の死亡の後は政府より実験中止の命令が下ったとあり

「政府が諦めたとしても別に構わない。私が欲しいデータは全て揃ったのだから、後は私は私の守りたいものを守れば良いだけだ。」

という文面で2冊目の日記は終了していた。

意味がわからないまま、さすがに目が疲れた俺は目頭を押さえて自分の頭の中を整理してみた。こんなに活字を読んだ経験自体が俺には初めての事であり、内容があまり難しく俺が欲しかった情報なのかどうかすらわからないままだった。

その瞬間、辺りが突然明るくなり、宗司が

『1度休憩しませんか?お腹も空いたでしょう?』

といつも涼し気な顔で俺に聞いて来た。窓の外は日が暮れ始め、宗司が部屋の灯りを付けたのだと俺は理解した。

頭がごちゃごちゃとしていて、何を言っていいかわからない俺は

『確かに腹が減ったよな…。』

と宗司に答えていた。宗司が手際良く冷蔵庫から出したものを温めて皿に盛り付け、俺や五十嵐の前に並べていた。俺は宗司に

『料理なんか出来るのか?』

と聞いていた。宗司は少し照れたように

『彩華が作り置きをしてくれるんです。割りと美味い方ですよ。』

と言っていた。五十嵐も小雪は料理が美味いと言い、料理が下手なのはうちのリナだけかと俺は笑っていた。

食事をしながら五十嵐が

『めぼしい情報は得られたか?』

と俺に聞いて来た。俺は

『まだリナとの繋がりははっきりしないんだ。心当たりがあるような文面はいくつか見つけたがそれが絶対で決定的とまでは行かない感じだ。ただ…。』

と言って俺は言葉に詰まっていた。宗司が目を細めて

『ただ…?』

と俺を促していた。俺は

『ただ、市ノ瀬が狂った危ない科学者だったとやたらと感じるんだよ。』

と答えていた。
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