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堕天使 1st gig.
第36章 未来へ
確かにリナは扁桃腺が弱く、発熱をすると意識を失くすほど弱ったりするのは俺は経験済みだった。

対して、美優は発疹熱にはかかったが、リナほど酷い症状は見せず、水分も自分で摂取が出来るほど元気な子だった。

ある種の俺の部分的な優勢遺伝子が美優に存在し、それが美優を強くしているのだと感じる俺は少しだけホッとしていた。

後は日記には理菜が初めて言葉を発した事や理菜が頭が良いなどの記録だった。

1歳になり歩き出し、3歳の頃に母親が居ない事に少し傷ついたりする理菜だったが、順調に成長を続け小学校へと入学していた。

「明日は理菜の入学式だ。理菜は賢くもう読み書き算数は2年生の範囲まで出来る子になっている。運動神経も良く、水泳や駆けっこなども得意だ。だが、芸術的な事は私に似て全くダメらしく得に歌は酷い音痴と言える子だ。」

と書かれた文面に俺は少し笑っていた。リナがドラマか何かの流行りの歌を台所で鼻唄で歌っていた時に俺が

『微妙に違う歌に聞こえるんだが…。』

と言ったらリナは赤い顔で

『ちゃんと合ってるもん!』

とムキになっていた事を思い出したからだった。お袋が音楽教師だったからか俺は音だけはなんとなくわかるようになっていたからリナが外す音がわかるのだが、それ以上言えばリナが本気で怒りそうだったから俺は黙っていた。

やっぱり、アイツ音痴なんだ…

と納得しながら俺は日記の先を読んでいた。理菜が小学校の高学年になった頃だった。

「夏休みだからと理菜が初めて私に食事を作ると言って夕食を作ってくれた。だが理菜の味覚は極度の甘党だ。マリアもよくチョコレートを好んだが、理菜も甘い物がかなり好きだ。だが、味噌汁に砂糖は止めさせなければならないと思った。」

という文面に俺は

やっぱりか…

と再び思っていた。味噌汁に砂糖は確かに俺はリナで経験済みだった。こうして市ノ瀬 理菜がわかって来ると明らかにリナは市ノ瀬 理菜だと感じて来る。

夏の暑さを嫌い音痴で甘党だという理菜は記憶喪失のリナそのものだと俺は感じていた。
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