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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?

「零子さん。よかったらアチラ、ご利用くださいねー」


 咲花が部屋の片隅のベッドを指し示し、冷めた目をして言うと――。


「あら、お気遣いありがとう。でも、ここで十分よ」


 ソファーの上で、零子は尚も黒木に迫ろうとしている。

 と、そこで――。


「零子さん、やめてくださいっ!」


 いい加減、見かねたとばかり。席を立ち肩を怒らせたサラの、一際大きな声が室内に響き渡った。

 その顔を見上げながら――


「じゃあ、サラちゃんが代わる?」


 まるで悪びれない顔をして黒木の股間を指差しながら、零子は言う。


「もう! 私――本気で怒りますからね!」


 顔を真っ赤にして、サラが喚いた。

 サラにとって、只でさえわけのわからない今宵の集い。主催である咲花はなにやら怪しい雰囲気を纏い(正直、怖いし……)、個別に招かれた様子の紺野や黒木との関係も知れない。

 そんな中で彼らに対する揺れ動く想いを確かに感じている、そんなサラであるのだから。唯一の心のよりどころであるはずの零子が、酒に乱れるこの状況に不安を覚えるのも無理はなかった。

 すると、そんな想いが通じたのであろうか。零子はソファーから、何事もなかったようにスッと立ち上がった。

 解放された恰好の黒木が、やれやれと息をついている。
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