パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第3章 結婚生活

結婚式のギリギリまで勤めていたせいで
その後の私は山積みになっている準備に追われることとなった。

衣装合わせ
生い立ち紹介の録音
司会者と打ち合わせ
最後に読む両親への手紙
…と、気が休まる暇もなかった。

そのうえ（後になって後悔したんだけれど）
ウエディングドレスは自分で縫う！
なんて宣言したもんだから
文字通り寝る暇さえなかった。


けれど、たった一度の晴れ舞台。

どうせなら――
誰も袖を通していない
純白のウエディングドレスで
バージンロードを歩きたかったから。



結婚式当日は――
たくさんの人々に祝福され
たくさんの人達にお祝いの言葉を頂き
今思えばこのときが私の幸せの絶頂だった。

『花嫁の手作りの、世界でたった１つのウエディングドレス』
なんて司会者が紹介するもんだから
みんなの注目を一身に浴びているようで――。

なんだか気恥ずかしくもあり
同時に心地良くも感じた。


同期の友人達
親しいドライバーさん
みんなの見守る中で、
私は世界一の幸せ者になったつもりでいた。


長い大変な準備期間を経て
ようやく門出の日を迎えることが出来ただけで
まだ結婚の第一歩も踏み出してさえいない現実には
そのときは気付いてもいなかった。