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鬼ヶ瀬塚村
第12章 達弘
『徳川マイケル先生も1年前"どど"だったんじゃないんですか?』

僕は鋭い目付きで睨む達弘さんを真っ直ぐ見つめたまま続けた。

『そうだったんでしょう?』

達弘さんは舌打ちをすると

『なで…そう思うんじゃ、おめ…どど知ってるのが?』

と呟く。

とても達弘さんが教えてくれるとは思わなかったが僕は更に続ける。

『"どど"って何なんですか?』

『………』

達弘さんの左目蓋が痙攣している。小刻みに、まるで何かの虫のように。

『駄目だ』

達弘さんは"はぁッ"と溜め息をつき僕から目を反らした。

『いぐら大先生でも教えらんねぇもんば教えらんね』

『………』

『ああ、オラぁからは言えねぇな。俺が…骨取られぢまう…』

『………ッ?』

耳を疑った。
達弘さんは確かに言った。"骨を取られる"と。
鬼ヶ瀬塚村の言葉で"殺す"という意味は"骨を貰う"だ。

取られる…つまり、僕は思考を回転させる。
聞き慣れないその言葉が一度バラバラに砕け、再び形を成す。

細胞分裂のようだ。

僕の脳内に極太のゴシック体で形を表したそれは、僕がそれを確認すると再びバラバラになり消えていった。

骨を貰うは殺す事。

ならば

骨を取られるは…










達弘さんは僕に"どど"を教えると誰かに殺されるのか?
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