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鬼ヶ瀬塚村
第2章 出発から村人の出迎え迄
あたりはヒマワリの黄色と緑と茶色を混ぜた不思議な色だ。それが僕の後ろに吸い込まれていく。
少し遠くには合掌造りの建物と巨大な水車が見えた。
曖昧な色で作られた東京とは違い、鮮明な色が景色を作り出していた。
ヒマワリの黄色、空の青、空に浮かぶ綿菓子みたいな雲の白、田園の緑、合掌造りの茶色、そしてアスファルトの黒。
それぞれがとてもハッキリ色彩を主張し、とても綺麗だ。

ここが真理子さんが生まれ育った場所か。

扉の場所から車を走らせて5分程した。僕はある違和感を感じて真理子さんに尋ねた。

『ねぇ、真理子さん…村の人達はどこにいるの?さっきから一人も見当たらないけど』

『多分私の家でたむろしてるか自分の家でお昼ご飯食べて寝てるんじゃない?』

意外とあっさりした答えが帰ってきた。

『ふーん、そういうものなのか』

『あ、ノブ今ちょっと馬鹿にしたでしょ?』

『してないよ』

『嘘ぉ…なんか田舎だからって馬鹿にしてた感じぃ』

真理子さんは笑って僕を左肘で小突いた。

僕は田舎の暮らしを知らない。おとぎ話や昔話で知った田舎のイメージしかないのだ。

どうやら僕のそれは幼少時代に培われ、凝り固まり、そして今に至るのかもしれない。

『正直さ、あの人達標準語喋れるわよある程度』

『えッ?けど電話では…』

『からかわれたのよ、あんた。まぁ、でもほとんど標準語使う人なんていないから覚悟してね』

『そうなんだ…わからなかったらどうしよう』

『わかんなかったらすぐ聞けばいいわよ、あいつら喜んで小一時間は教えてくれるわよ』

『そりゃありがたい』

点々とだが、村人の家屋が先程より多く見え始めた。つい最近建築されたような綺麗な日本式家屋だ。とても田舎のそれとは思えない。

6月の熱を帯びた日の光を屋根瓦がピカピカ反射させている。どの家にも庭があり、何かしらの樹が植えられていた。果実らしき物も見える。
そして、その木々の間に白い割烹着姿の老婆がシワシワの顔をこちらに向けていた。

『あの人は?』

『ああ、松山のばぁちゃんね、結構ボケてるのに言う事言うのよね』

『へぇ』

『じき着くわ、見える?ほら、山裾に赤い屋根瓦の建物あるでしょう?』

真理子さんが指差す。

僕は真理子さんの左手、そうして人差し指の先から尖った爪先。
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