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鬼ヶ瀬塚村
第2章 出発から村人の出迎え迄
呆気にとられるくらい綺麗に塗装されたアスファルトの道が真っ直ぐ続いていた。

『え…』
僕は思わず漫画の登場人物みたいに声に出して驚いた。
黒く艶のあるアスファルトは凹みも歪みもなく、真新しく見えた。その二車線程の幅の道沿いには豊かに繁ったヒマワリがじきに花弁を惜しげもなく開かせようとしている。
そして、ヒマワリの奥にはみずみずしそうな田園風景が寡黙に繋がっているのだ。
僕はてっきり"鬼の村"と威嚇するように書いてる事から察して真理子さんには失礼だけれど…その…廃村に近い場所かと思っていた。

『お待たせ!』

真理子さんが運転席に戻ってきた。

『ひどいでしょ?馬鹿みたいな扉作って中にこもりきりなのよ?』

真理子さんは嘲笑気味に言って車を発進させた。

ガタガタいっていた車体がピタリと静かになり、滑るように走りだす。

『待ってて、ごめん!』

真理子さんは再び同じようにして車から降り、パタパタと小走りすると巨大な扉をまた同じように閉じた。
同じようにまた人の叫び声のような音を立てて扉が閉じられていく…僕は見た。扉の厚みはせいぜい5cm程度かと思っていたのだが…30~40cmは遠目に見てもあった。
僕はぬらりと冷たい風を首筋に感じた気がした。
閉塞感が逆に美しいこの田舎の光景を恐ろしくした。
あの分厚さはなんなんだ?そんなに部外者からの干渉が苦手なのか?僕は大丈夫なのだろうか?
僕はすっかり縮こまり、無言になってしまった。
バタンッとドアを閉めて、戻ってきた真理子さんがシートベルトを締める。
不意にバックミラーの中の真理子さんと目が合った。大きな目がギョロッと僕を捉えるとゆっくりと上弦の月の形を作った。

『もしかして、びびってんの?』

真理子さんは楽しそうに言う。

『どうしてあんなに大きなバリケードが?』

『さぁね、多分県や国からの搾取を避けたいんじゃない?田舎ってそういうとこあるじゃない?うちもダム建設だとか廃棄処理場建設の話がうんと昔にやっぱあってさ、村中で反対したらしいわよ』

『そうなんだ…』

『そうやって勝手に土地奪って村人の事はほったらかしでしょー?』

『そうだね…』

『何よ、曖昧な返事ね』

僕はミラーの中にいる真理子さんから視線を前方に向けた。信号こそないものの、近代的で整った道が真っ直ぐ続いている。
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