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鬼ヶ瀬塚村
第18章 地獄道
太鼓囃子が遠くに聞こえる中、僕と真理子さんは階段の一番下にある石段に腰かけていた。
スズムシが小さく鳴いている。
牛蛙の太い声も聞こえる。そして蛍が飛び交っていた。

『ごめんよ真理子さん』

『いいのよ、別に…』

『この村は…変わってるね』

『あら、失礼ね。どうしてそんな事言うのよ?』

真理子さんは赤くなった丸い鼻先を指先で擦りながら僕を見上げる。

『いや…なんて言うか…一体感があると言うか…』

『そりゃそうよ。村ぐるみで秘密抱えてるんだから』

『こんな村が存在していたなんてな…』

『しょっちゅう誰かが死体持ち込むのよ。有名人や政治家の端くれやモデルやスポーツ選手も来た事あるのよ、みんな結局考えるのは同じ事なのよね』

『そうか…それで優子は…』

『そ、まだTSUNAがようやく売り出した頃かしら?村に顔面蒼白で来たらしいのよ。私聞いて笑っちゃったッ!あんなすかしていつも気取ったオカマみたいな男がさ死体車で運んでやって来たんですもの』

相変わらずだな、真理子さんは…。

『そして今では有名バンドグループのラルクアングレイジャパンのボーカルでしょ?よく人殺しておいて歌なんか歌えるわねぇ…馬鹿みたい』

『ねぇ、真理子さん。彼らはこの村の存在をどうやって知るんだい?』

『さぁ…噂が噂を呼んでって感じじゃないかしら?殺人を犯した人間アドバイスするサイトなんかがあったりして』

真理子さんはニヤニヤしながら緋袴から足先をピンと伸ばした。
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