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鬼ヶ瀬塚村
第3章 優子
『へぇ、いいだんこでねぇか?オレもっと芋が来ると思ってただわ』

左頬を擦りながら優子ちゃんが僕の額にハンカチを当てた。

『あんたのせいで死にかけたわ』

真理子さんは路肩に停車させたサーフのバンパーをさすっていた。

僕はと言うと、熱いアスファルトにタオルを敷いて腰をおろしていた。
優子ちゃんが汗と血の滲んだ僕の額をしきりに拭いてくれる中、サーフの影がいい具合に僕を日光から守ってくれていた。

『だもんで姉じゃんよぉ、オレずっと朝から待っどたんじゃ踊るんもあたまえじゃば?』

優子ちゃんは口を尖らせて言った。
年の頃より幼い印象の娘だった。
短く切ったショートカットに白いセーラー服、そして素足にサンダルを履いていた。
足首に昔流行ったミサンガを一つ巻いている。

そして、黒く健康的に日焼けしている。日焼けを嫌う真理子さんとは正反対のようだ。

『あんた学校はどうしたのよ?』

『づまんねがら行っでね』

彼女はしゃがみ込むと僕を真っ直ぐ見つめた。

『ほぇ…ええだんこだっぺ。オレ優子ってんだ、おめなんて呼べばええんだ?』

『あの…優子ちゃん…?だんこって…?』

先程から鬼ヶ瀬塚村の人は僕を"だんこ"と呼ぶ。

『おどごの骨て書いてだんこよ、おめらおどごの事よ』
優子ちゃんは白い歯を見せて笑って教えてくれた。
なるほど、どうやら鬼ヶ瀬塚村では男を"男骨"と言うらしい。

『オレ、じょこ、女の骨な!んで、おめ名前なんてんだ?』

僕は真理子さんに助け船を求めるように見上げた。

『優子、この人は田中信人さんよ。信人さんって呼ばせてもらいなさい』

『ほ~え~…おめもノブってんだ?オレのがっごうにも足のはえぇノブで奴おっだば!』

『優子、ノブじゃなくて信人さんよ』

『ごといごど言うでねぇよ、オレ優子!優子って呼ばねと骨貰っちまうでば』

『骨を…?』

『はいはいストーップ!』

真理子さんが両手を大きくふりながら僕と優子ちゃんの間に割り込んだ。

『優子、あんたいい加減にしなさいよ?それからその古い言葉は止めなさいって言ってるでしょ?ノブ困ってるじゃない?』

優子ちゃんは僕の前から立ち上がると両手を後頭部に当てながらその場でクルッと回転した。

『オレ、優子。よろしくな。おめぇはノブってんだな。そう呼ばせてもらうわ!』
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