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鬼ヶ瀬塚村
第4章 荒岩一族との初対面
僕は広い居間の真ん中でジッと正座して真理子さんを待っていた。
遠慮がちに辺りに目をやる。
居間から縁側があり、その向こうには日本庭園にも負けないような見事な庭がある。
長く、しなやかでたくましい竹林がザァザァと涼しげな音を立てながら揺れ、その竹林の影を受けて小さな池が灰色にキラキラ光っていた。
時折水面に小さな気泡が上がってくる、恐らく鯉だとか鮒を飼っているのだろう。
鹿威しは熱で乾いたのか動いてはいなかった。
けれど僕は生まれて初めて鹿威しのある家に来た事に内心年甲斐もなくはしゃいだ。
そして、男性陣の趣味なのか、それこそ良い値がしそうな盆栽が所々飾られている。
スズメと蝉の鳴き声が、この庭のサウンドとなり子供が憧れるような田舎の夏を演出していた。
キュッキュッ…不意に木材が軋む音が聞こえてきた。廊下を歩く音だ。
どうやら数人が歩いているらしく、不規則に鳴っている。
足音が近付き、パッと障子が開けられた。
『信人くん!ごめんなざいねぇ、待たせちゃって』
一郎さんだった。
そして一郎さんの後ろには年配の男性と若い男性が立っていた。
遠慮がちに辺りに目をやる。
居間から縁側があり、その向こうには日本庭園にも負けないような見事な庭がある。
長く、しなやかでたくましい竹林がザァザァと涼しげな音を立てながら揺れ、その竹林の影を受けて小さな池が灰色にキラキラ光っていた。
時折水面に小さな気泡が上がってくる、恐らく鯉だとか鮒を飼っているのだろう。
鹿威しは熱で乾いたのか動いてはいなかった。
けれど僕は生まれて初めて鹿威しのある家に来た事に内心年甲斐もなくはしゃいだ。
そして、男性陣の趣味なのか、それこそ良い値がしそうな盆栽が所々飾られている。
スズメと蝉の鳴き声が、この庭のサウンドとなり子供が憧れるような田舎の夏を演出していた。
キュッキュッ…不意に木材が軋む音が聞こえてきた。廊下を歩く音だ。
どうやら数人が歩いているらしく、不規則に鳴っている。
足音が近付き、パッと障子が開けられた。
『信人くん!ごめんなざいねぇ、待たせちゃって』
一郎さんだった。
そして一郎さんの後ろには年配の男性と若い男性が立っていた。