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鬼ヶ瀬塚村
第4章 荒岩一族との初対面
『あれ?紗江ちゃんいながったか?おぢゃぐれぇ出したらばええのに…』

『あ、いや…今、真理子さんが淹れてくれてます』

一郎さんと男性2人は僕の斜め横に1人、正面に2人と腰を下ろした。

『おめが真理子ぉの東京のだんこだばでなぁ!!がだい白乳ぐぜばなだんこだっぺ!?』

顔が真っ赤で額に傷痕らしきものがある男性が開口一番に大きな声で言った。
どこか酒臭い…そしてヤニで黄ばんだ歯の隙間は黒々とし、時折僕に向かって唾が飛んでくる…。

『どぉちゃん、おじっづげ!……信人くん、この人僕の父親の荒岩吾郎!電話でわめき散らしてた人…真理子ちゃんの祖父に当たる人だば!』

『初めまして田中信人と言います。数日間お世話になります』

僕は軽く会釈をした。

吾郎さんは"ガッハッハッハッ!!"と豪快に笑ってから

『いんや、ええだんこがぎじゃっただなぁ!!わしのわらごのどきに似とるば!!!』

『とぉちゃん、信人くんは東京からわざわざ来てくれたんだがんね?…昔のごどばは控えめにせんと真理子ちゃんが怒るば』

『いえ…そんな…』

『へッ…東京だがなんだがじんねぇが……』

僕の斜め横でずっと無言だった若い男が初めて口を出した。
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