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鬼ヶ瀬塚村
第5章 宗二
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声の人物はか細いが程よく筋肉のついた腕を上げ、静かに麦わら帽子を後頭部へと動かした。
大きくてくりくりした目の年配の男性だった。無精髭が目立つが不快には感じない、どこか村には違和感を感じる洗練された紳士だった。
『この度はわざわざ遠くはるばる足を運んでくださって、ありがとうございます…』
紳士は静かに頭を下げた。白髪混じりのつむじが僕の目の前におりてくる。
『あ、いえ…顔を上げてください』
僕が言うと彼は柔らかな微笑みを浮かべ
『荒岩宗二です。真理子の父親です。こんな時に初めて挨拶をする無礼をどうかお許しください』
顔を上げた。
まるで白黒映画に出てきそうな整った顔立ちだった。真理子さんの父親と言われて納得せざるおえない。
『宗二、仕事ば終わっだんば?』
吾朗さんが唾を飛ばしながら言うと、宗二さんは
『いえ、せっかくわざわざ東京から田中さんが来ると聞いていたのですから…とんで帰ってきました』
彼はそう言いながら照れ臭そうに僕を一瞥した。
『んじゃぁ、おめらふだりで話ぜッ!?わじは帰るば』
吾朗さんはそう言って踵を返した。
大きくてくりくりした目の年配の男性だった。無精髭が目立つが不快には感じない、どこか村には違和感を感じる洗練された紳士だった。
『この度はわざわざ遠くはるばる足を運んでくださって、ありがとうございます…』
紳士は静かに頭を下げた。白髪混じりのつむじが僕の目の前におりてくる。
『あ、いえ…顔を上げてください』
僕が言うと彼は柔らかな微笑みを浮かべ
『荒岩宗二です。真理子の父親です。こんな時に初めて挨拶をする無礼をどうかお許しください』
顔を上げた。
まるで白黒映画に出てきそうな整った顔立ちだった。真理子さんの父親と言われて納得せざるおえない。
『宗二、仕事ば終わっだんば?』
吾朗さんが唾を飛ばしながら言うと、宗二さんは
『いえ、せっかくわざわざ東京から田中さんが来ると聞いていたのですから…とんで帰ってきました』
彼はそう言いながら照れ臭そうに僕を一瞥した。
『んじゃぁ、おめらふだりで話ぜッ!?わじは帰るば』
吾朗さんはそう言って踵を返した。
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