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鬼ヶ瀬塚村
第6章 晩餐
そして廊下へ続くふすまを開けると、静かに閉じて彼は居間を後にした。キュッキュッキュッと廊下がきしむ音が遠ざかっていく。

『あ゙い、次は畑でどれだ豆ッ!』

紗江さんが枝豆をちゃぶ台の真ん中に置く。それを見て、優子ちゃんは素早く枝豆に手を伸ばした。

パシッと弾ける音がし、紗江さんが優子ちゃんを睨んでいた。

『おめ、づまみ食いすんなっぺ?』

『なんでー、豆ぐらいかまわんじゃば?』

叩かれた指先をさすりながら優子ちゃんは駄々をこねる。

『駄目だ。おどなじくよそもんと話しどげ』

紗江さんは昼に見せたような鋭い目付きで僕の方を軽く見た。彼女もまた、達弘さんと同じように部外者が苦手なのだろうか。
敵意すら感じる視線だ。

『優子ちゃん、学校は楽しい?』

僕は紗江さんの視線から逃げるようにして優子ちゃんに訊ねた。

『おう、楽しいっぺよ。時々づまんねげどな!オレは体育と英語の授業が好きなんだば!』

『そうなんだ、確かに体育得意そうだもんね』

『無駄に猿みたいに早えぇ動きするがんな』

紗江さんは悪態をついてから再び暖簾の向こうへと消えていった。

『なぁ~ノブ!後で庭で花火しながら東京の話さ聞かせてぐれよぉ』
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