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あなたの胸の中で眠る花
第4章 再会

引っ越し当日。

真ちゃんを迎えに駅に向かう。途中、自動販売機でお茶とコーラを買う。それを持って駅の中の待合室に座る。まだ電車の中にいるって言ってたからもう少しかかるかな。
あれ以来、電車には乗ってない。倒れたことと痴漢に遭ったことが少しトラウマになっているのかも。私はテーブルにうつ伏せになり、ぼーっとしながら待っていた。

「すみません」

後ろから急に声をかけられ振り向くと、サングラスとマスクをしたいかにも怪しい風貌の男性が立っていた。一瞬警戒したが、聞き覚えのある少しハスキーがかった声ですぐに誰だか分かった。彼のおふざけに付き合おうか迷ったけど、面倒くさかったのでやめた。

「すみません、人を探してるんですけど…」
「何してるの、真ちゃん」
「え!なんでわかった!?」
「声で分かった」
「くそ〜!久しぶりだから脅かそうと思ったのに!」

サングラスとマスクを外し、ニコッと白い歯を見せる。その顔は以前より痩せたように見えるが、変わらない笑顔に安心する。少し垢抜けたのかな?髪も茶髪になってる。

「元気だったか?」
「……うん」
「心は変わってねーな!ちょっと髪が伸びたくらい?」
「真ちゃんは…なんかチャラくなったね」
「え!チャラい?オシャレになったって言えよ!」

こりゃ完全に東京に染まったな。
そう思いつつも久しぶりの再会はやっぱり嬉しい。私は先ほど買ったコーラを真ちゃんに渡した。

「はい、長旅お疲れ様」
「あ、ありがとう…気がきくじゃん」
「好きでしょ、コーラ」


駅を出て並んで歩き出す。晴れているけど、まだ冷たい空気を感じながら二年前を思い出す。真ちゃんが東京に行った日もこんな感じだった気がする。寂しかったけど、泣かなかったよ。また会えるって信じてたから。


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