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あなたの胸の中で眠る花
第7章 ♢過去*

妻とはその後離婚した。
美咲が亡くなってから、会話も減った。お互い責任を感じつつ、責め合うことが多々あった。今まで和やかな雰囲気だったのは、美咲がいたからだと気付かされる。

二人でやり直すことはできなかった。


あれから十二年。
風の便りで、妻が再婚したことを聞いた。
よかった。彼女には幸せになってほしい。

俺にはもう彼女を笑わせることはできないから。



もうすぐ桜が咲く季節になる。美咲の誕生日もその頃だ。
生きていたら、二十二歳か。
一緒にお酒も飲みたかったな。

ごめんな、守ってやれなくて。気付いてあげられなくて。
きっとどこかでSOSを出していたはずなのに。

自分の子どもを分かっていたつもりだった。でもそれは表面上だけで、本当の意味で分かっていなかったんだ。これでよく講師が勤まったものだ。他人の子どもを見る前に、自分の子どもを見なくちゃいけないのに。


俺にはもう誰かと寄り添う気力は残っていない。
そんなに長生き願望もないので、一人で静かに、ひっそり生活できればいい。




そう、思っていたのに……。




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