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あなたの胸の中で眠る花
第4章 再会

施設に着くと、懐かしい人物の登場に皆が喜んだ。真ちゃんはやんちゃで世話の焼ける子だったから、そんな子が成人になって大学まで通ってるのだから感慨深いのだろう。佳永子先生は少し涙目になりながらもいつもの口調で声をかけた。
「やっぱり垢抜けたわねぇ。全く、二年も音沙汰ないのに来る時は急なんだから」
「ごめん!想像以上に忙しくてさ〜。バイトもしてるからなかなか時間作れなくて。あ、これお土産 !」
「あら、ありがとう」
「佳永子先生も変わってないな!ちょっと白髪増えたくらい?」
「真ちゃんも変わってないわね、そういう失礼なとこ!」
「冗談冗談。久しぶりだなぁ、この感じ」
近況報告したり、他愛ない話で盛り上がる。その様子を見てると昔に戻ったみたいで和やかな気持ちになった。
「そうだ、来たついでに、こっちゃんの引っ越し手伝いなさいよ。今日引っ越しなんだもんね?」
佳永子先生が私に向かってウィンクする。
「は?聞いてないけど。引っ越し来月じゃねーの?」
「色々タイミングがあるのよ。先生たち、ちょっと忙しいからさ。かわいい妹の為にやってやんなさいよ。あ、車借りていいからね」
「業者に頼め、業者に!」
案の定、文句言われまくり。
「ごめんね、真ちゃん。ありがとう」
「思ったより少ないから許してやる。晩飯は奢りな!」
「わかったよ」
施設の皆と一旦別れ、車に段ボール数箱を詰め込む。忘れ物はないか確認して車に乗り込んだ。
「真ちゃん、いつの間に免許取ったの?」
「大学一年んときの夏休みかな。金貯まったら車もそのうち買う予定」
「そうなんだ」
知らない間に大人の男性になっていて、なんだか不思議な感じ。助手席から見る真ちゃんはさっきより大人っぽく見えた。
………あ、ピアスしてる。やっぱり東京に染まりやがったな。

