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あなたの胸の中で眠る花
第5章 ♦︎曖昧な恋心*

店からアパートの道のりを並んで歩く。
俺は弁当の入った袋を持っていると、あることに気付いた。

「あれ、弁当一個多くね?」
「あ…それは、一条さんにもあげようと思って」
「なるほどな、またコンビニ弁当かもしれないしな」
「無難に唐揚げ弁当にしたんだけど…」
「一条さん、唐揚げ好きだよ」
「本当?なら良かった」

心は、ほっとしたような笑顔を見せる。
知り合ったばかりの人に弁当あげるなんて珍しい。俺の知り合いだからかな?一条さん、料理はしないって言ってたから助かると思うけど。

「お前は本当優しいなぁー!」

髪がくしゃくしゃになるくらい彼女の頭を撫でると、予想外だったのか、心は驚いて俺を見る。そして頬を赤くしながら「そんなことない」と言った。

照れてんのか?
その様子に彼氏はいないと勝手に推測する。男がいたら、そんな反応しないだろう。心に彼氏ができたら、吹っ切れたりすんのかな…。素直に喜べるだろうか。
てか今まで彼氏いたことあるのか?あんまりそういう話をしないし、聞かないからどうなんだろう。恋愛に興味がないのか、父親の存在が大きすぎるのか。





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