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あなたの胸の中で眠る花
第6章 縮まる距離

今日はお昼からの出勤。少しだけゆっくり過ごせる朝。
キッチンの小さなテーブルに寄りかかりながら、トーストをかじる。真ちゃんはもう電車に乗った頃かな。夕方から塾のバイトあるっていってたから間に合うといいけど。

鎖骨の件は結局聞かなかった。真ちゃんとはあんまり恋愛の話をしない。避けていたわけではないけど、小さい頃から一緒にいるから、今さらそんな話をするのも恥ずかしい気がして。
真ちゃんに彼女ができるのは普通のことだ。でも、誰かのものになるのはちょっぴり複雑な気分。'妹' としては、兄を取られたようなそんな心境になる。そのうち紹介でもされたら、私は素直に喜べるのかな?


喉が渇いた。
牛乳を飲もうと冷蔵庫を開けると、袋に入ったお弁当に気付く。
そういえば…一条さん、昨日はずっと留守みたいだったから渡せなかったんだ。

塾の開業準備で忙しいみたい。
一人でやるなんて大変だろうな。

一条さんはすごくいい人だから困ったことあったら聞け、と真ちゃんが言っていた。まだ慣れないけど、お隣さんだし、真ちゃんの知り合いだし、それに…命の恩人だから。お弁当一個なんて全然足りないけど、これはささやかなお礼の一部。せっかくだから渡したい。いつ帰ってくるのかなぁ。

そんなことを考えていたら、時計は十時を過ぎていた。そろそろ準備して出なくちゃ。

軽く化粧をして着替えた後、少し急ぎ足で玄関を出た。

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