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人魚島
第5章 夏祭り
会計を済ます頃には辺りは提灯だらけで夏祭の雰囲気に染まっていた。
咲子が釣り銭をポケットに入れながら『うちで浴衣に着替えて春香と誠に合流しよか』と笑う。
『また後でな』と僕等は解散した。
祭会場は魚鳴き海岸と呼ばれる海岸にて行われるらしい。
村人のおよそ4分の一250人が参加するらしい。
人魚島はだいたい一家族6人の構成で三世帯が同居し、大半が漁師である。
そして皆一様に幼馴染みとして顔馴染みに大人迄成長するのだ。
魚沼家に戻れば黒い生地に百合の花をあしらった花子が浴衣を着込んで居間でテレビを眺めアイスキャンディーを食べていた。

『あ、それ…うちの浴衣…一張羅やん?』

咲子が花子に駆け寄り花子の胸ぐらを掴み上げたので僕は慌てて咲子を羽交い締めにした。

『母ちゃんなんでやッ?』

泣き叫び怒る咲子に台所からやって来た三咲さんが西瓜の乗った皿を両手に呟いた。

『しゃあ無いやんか?サイズもうアンタ乳でかいけん合わんやろ?』

正座しながら笹柄物の浴衣を正す三咲さん。

『やからってこんな仕打ち無いわッ!呉市でやっと見つけたお気に入りなんやでッ?』

喚く咲子の頭をワシャワシャしながら『あん?』と小首を傾げる三咲さん。

『苺柄のやつあるやん?』

『そんなダサい子供っぽいやつ着れる訳無いやろッ?』

ようやく花子から離れ涙を流しながら咲子は花子を睨んでいた。

『はぁ、まぁ、やかましいな?とにかく着替えや?着付けたるけん、春樹くんは西瓜な?甚平着るか?』

『はい』

僕等は着付けを済まし居間に集合した。
咲子は苺柄の安っぽい浴衣を着て顔を歪ませ真っ赤にしていた。

『あんま見やんで?』

咲子が西瓜を咀嚼しながら頬を膨らませた。

『そろそろ行こう』

咲子が渋々立ち上がり、トイレを借りてから僕等は下駄を鳴らしながら坂道を下って例の魚鳴き海岸を目指した。
ザワザワと海岸一面に250人あまりの村人達が花火をしたり煙草を吸ったり談笑して的屋に並んでいた。
会場に長さ80メートルばかりのライブステージがあり、既に何組かのバンドグループがその美声を発揮していた。
会場隅で談笑する誠さん、春香さんに合流する。

『お前ベースなの?』

煙草を吹かしながら誠さんがニヤリとした。

『そうです』

『なら早く用意しなよ?禅や正太郎待ってる』

誠さんが笑った。
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