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人魚島
第5章 夏祭り
穂波さんがガッカリしがら踵を返して行く。
敦さんと正子さんがそれに気付き慌てた様子で追い掛けて行った。
咲子もそれに気付いていた様だが無視して冷酷にも僕等に手拍子する。
それを見下ろせばあまりの酷さに反吐が出た。
咲子は冷たい女の子だと認識した。
『1.2.3ッ』リズムを取りながら一気にイントロが流れGCGCとコードを押さえる禅さんに合わせてベースをチョッパーした。
久しぶりの人前での演奏に多少緊張た。
しかし去年の文化祭で舞台に上がった僕だ、払拭出来た。
汗が滲んだ。
イントロから花子がソプラノボイスで『やっと目を覚ましたかい』と見事な歌唱力で歌い上げる。
途端不愉快になったのか咲子が人混みを掻き分けてその場から離れて行く。
僕はそれを顔を上げて見詰め苛々した。
そしてそんな咲子をお節介にも追い掛ける誠さんと春香さん、結局知り合いで見ていてくれたのは後から聞けば三咲さんと橘さんと明さんだけだったらしい。
演奏が終わり汗だくのままライブステージ裏側の簡素なテントに戻りミネラルウォーターを頭から被った。
花子がやって来た。

『あ、ハルくん、ハルくん』

『花子』

途端苛立ちが薄れ綻びニヤニヤする僕。

『ありがとう、ハルくんが急遽助っ人に入ってくれたけん、無事に気持ち良く歌えたよ?』

『花子凄いな…あ、カーテンコールだ』

ザワザワと観衆が浮き足立っている。
何事かとスタッフを見れば『やぁ、人気者だな花ちゃんは、アンコールだよ』と告げる。

『どうすんだよ?』

禅さんがザワザワする観衆にビビりながら『何演奏すりゃ良いんだよッ?』と頭を抱える。

『ZARDは?』

『馬鹿、先々週の夏祭りでやったばっかだろ?』 

『じゃあどうしたら…?』

『早くして下さいね』

スタッフが腕を組んで急かして来る。

『天体観測…』

花子が呟いた。

『バンプオブチキンの天体観測は?』

『バッカッ!春樹にゃ弾けねぇよ、なぁ?』

『バンチキ?弾けますッ!やろうよみんなッ!』

僕はベースを構えイントロを奏でて見せた。
かなり古い楽曲だったがたまたま憧れていた先輩がバンプオブチキンのコピーバンドを組んでおり遊び感覚で天体観測とカルマと言う10年以上前の楽曲を教えてくれたのだ。

『お?やれるのかよ?』

『うん』

『よしじゃあ天体観測行くかッ!』

円陣を組み肩を組んだ。
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