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人魚島
第6章 早坂先生と恋人美沙
花子が優しく優しく背中を撫でながら『はい、お水』とコップにわざわざ水を汲んでくれる。
僕はえずきながらうがいした。
胃酸の生臭い唾液が流れて行った。
僕はそのままヨロヨロと花子の洋室のベッドに横になった。
すかさず花子が看病してくる。
有り難い。
花子が僕のお腹を擦ってくれて、やけに落ち着く。
このまま眠りそうだ。

『寝ちゃっても構わんけん』

『ありがとう』

僕は微睡んで行った。
やがて次第に静かに寝息を立てる僕。
恐ろしい夢を見た。
咲子が可愛らしい蟻の行列にライターを近付け火を放つ夢だ。
悪夢だ。
メラメラと燃え盛るライターはスナックマーメイドのちゃちなやつだ。
それを使ってしらみ潰しに蟻達を燃やしながらハァハァと感じている咲子。
不気味だ。
果てし無く不気味だ。
僕はのたうち回りながらガバッと目覚めた。
暗闇の中、蛍が放し飼いされている。
フンワリ輝くその一匹が僕の指先に止まった。

『人が怖く無いのか?』

思わず話し掛ける。
蛍からは当然返事なんか無い。
しかし、人を恐れ無いのか蛍は僕の左手人差し指に止まったままだ。
静かに光っている。
そしてそのまま腕を這う。
静かに光っているだけだ。
静かに静かに光っているだけだ。
静かに摘まみ上げ、空中で2~3回腕を振るえば蛍は飛び去って行った。

『ハルくん、起きて?晩御飯だよ?』

不意に花子の可憐な声がし、僕はベッドから下りた。
そして花子と居間に向かう。
早坂先生と美沙さんはまだ居て何やら鯛の刺し身をつついていた。

『やぁ、春樹くん』

早坂先生がマルボロメンソールを燻らせたながら明さんと晩酌し、ホロ酔いの様だ。

『こんばんは』

美沙さんも三咲さんと晩酌している。
卓袱台には鯛の刺し身と美沙さんからの手土産である柿の葉寿司が並んでいた。
咲子も居る。
宗一さんと静枝さんもワンセットだ。

『食べたら?』

美沙さんが小皿と箸を手渡しながらケントを燻らせる。
僕は美沙さんから小皿と箸を受け取り花子が捌いたであろう鯛の刺し身を食べた。
甘くて霜降りで美味い。

『美味いよ、花子』

『ありがとう、お礼は橘に言ってね?』

僕は頷きながら白米を食べる。
こうして僕等は晩餐を過ごした。
不意に玄関がバンバン叩かれた。
すかさず咲子と花子が来客に対応する。

『ウオト…』

花子の呟きがした。
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