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人魚島
第8章 能力
そこにはステンレスの台があり、ウオトが横たわっていた。
青白く毛細血管が浮き出ていた。
固まって死後硬直しているのか仰向けになっている。
裸で黒々とした陰毛に縮こまった陰茎が僅かに見えていた。

『どうして顔があるの?』

僕は震えながら花子を見下ろした。
花子は小首を傾げながら『何が?』と眉ねを寄せる。
まさか悪戯かと花子の顔に手を重ねて確認する。
小麦色に焼けた素肌には大きな瞳に弓形の形良い眉、小振りだが先の尖った鼻に、ポッテリしたピンク色の唇が卵形の輪郭に収まり、長く黒々した濡れ昆布の様な長い髪の毛に覆われている。
前髪は一直線に眉よりやや上のラインに切り揃えられていた。

『顔はどうしたんだよッ?』

花子の肩を掴み揺さぶる僕。

『だから、何がッ?』

『花子は顔が無かった筈だッ!』

『ハァッ?意味解ん無い』

『どう言う事なんだよ…早坂クリニックだった筈なのに、早坂病院?なんだってこんな馬鹿広くなってるんだ?』

僕は花子を揺さぶった。

『私が生まれた時から早坂先生の病院は早坂病院だよ?ちょっと、大丈夫?頭ぶつけた訳とちゃうやろ?なぁ?』

僕は震えながら花子を見据えた。
美しい花子にクラクラしながら僕はウオトに目線を這わせた。
死後硬直し、仰向けになり天井を仰ぐウオト。
僕はゆっくりウオトの死体に近付いた。
ヒンヤリした霊安室の中、片目だけ開いたウオトが静かに物語っている様だ。
ウオトは言っていた。
『天使としては合格だよ、じゃあ死ぬね』と。
天使?意味が解ら無い。
じゃあ死ぬね?とはこの事なのか?
僕は震えながら首を左右に振り後ずさった。

『ハルくんだけのせいや無いよ』

『何故死んだの?』

『ウオトはヘルメットしとらんかった、ハルくんはちゃんとしとたけん、頭ぶつけやんかったし、奇跡的に無事やった、ウオトは脛椎損傷、即死やった…』

花子が然り気無く僕の手を握り涙ぐんだ。
僕は訳が解ら無いまま、花子を抱き締めた。
不意にウオトの唇が動いた。

『コノママガイイ?』

『え?』

『どうしたん?』

花子が僕を見詰める。
僕は『なんでも無いよ』と花子を抱き締めた。
再度見たウオトの唇は塞がっていた。
見間違いか、幻聴か。
僕は震えながら後退り『行こう』と診察室に戻った。

『帰宅しても構わ無いよ』

早坂先生が告げて僕等は帰宅した。
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