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人魚島
第8章 能力
『俺は生まれてこの方裸眼だよ?海水飲み過ぎたかな?大丈夫かな?春樹くん?』

は、早坂先生が裸眼?
そんな馬鹿な、今朝だって眼鏡だったじゃ無いか。
不意にキィッと扉が開いた。

『は…花子?』

そこには胸元迄伸ばした長い髪の毛を揺らしながら涙をポロポロ溢す美しい顔の花子が立っていた。
花子には顔があった。

『ハルくん、意識戻ったんや…』

弱々しい声で呟き、ソッと僕に近付く。
咲子が珍しく避けた。
花子は寝台で上体を上げた僕の首筋に腕を回して『良かった…』と僕の肩に顔を埋めて泣いた。
見れば咲子も泣いていた。

『警察にはうちから説明しといたけん』

三咲さんかピアニシモでは無くキャメルを何故か吹かしながら『ここは禁煙だよ』と怒る早坂先生を無視して煙を吐き出した。

『け、警察?』

僕はゆっくりベッドに腰掛けた。

『アンタ等事故起こしたやんか』

『事故?』

『覚えとらんの?魚人くんのフォルツァで崖から落下して死に掛けて魚人くんはさっき昏睡状態即死で亡くなったんやで?ちょっとは責任感じや?』

『まぁ、三咲ちゃん、煙草消して落ち着きなよ』

三咲さんから煙草を引ったくり洗面台で消火し『煙草なんか10年前に止めたよ』と吸い殻をゴミ箱に入れる早坂先生。

『そうだッ!ウオトッ!ウオトはどうなったのッ?』

『やから、さっき死んだわ』

し、死んだ?

『まさか』

『そのまさかや』

三咲さんが僕を睨んだ。
花子がワァワァ泣き出し僕にしがみ付いた。
何故花子に顔があるのか解らず、花子の肩を抱きながら『顔、どうしたの?』と思わず訊ねた。

『な、何がよぅ?』

泣きじゃくりながら花子が僕を見詰めた。
咲子よりややタレ目がちで、咲子より二重の幅が広く鼻も高い、丸い日に焼けた額には汗で前髪が張り付いていた。
僕がそれを掻き分けてやれば花子が『こっち』とサンダルを鳴らす。
ヨロヨロ付いて行けばまたしても違和感が訪れた。
早坂クリニックは馬鹿広くナースが行き交っていた。

『これは?』

『早坂病院、何?海水飲み過ぎて覚えて無いの?』

『………』

花子が『こっちだよ』と手を繋ぎながら地下に降りる。
ヒンヤリ誰も居無い廊下に霊安室があった。
『ここや』花子が霊安室の前で涙を拭いながら『入るよ』とスライド扉を開いた。
暗闇の中、花子が電気を付ければパッと明るくなる。
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