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人魚島
第10章 東京編
僕はすかさずタクシーを捕まえてイシコリドメに『ありがとう』と言いながら乗り込んだ。
目指すは新宿だ。
アパートに着き鍵を開ける。
中には万年床で『痒い痒い』と腕をボリボリする花柄が。
やはり梅毒にも感染していたらしいッ!

『花子、掻いちゃ駄目だ』

『痒いよぅ』

『シャワー浴びよう、水浴びような』

『うん』

花子をユニットバスに入れる。
花子の背中一面には薔薇の花の様な発疹が出ている。
掻きむしったのか、血がうっすら滲んでいた。
僕は花子に冷たいシャワーを掛けてやる事にした。
真冬だったが仕方が無い。
花子の身体に軟膏オロナインを塗りパジャマを着せてやる。

『なんやろう?蕁麻疹かなぁ?』

眉ねを寄せながら花子が唇を尖らせる。
まさか梅毒に感染しているとは言え無かった。

『寝ようか』

花子の額に手を重ねてゆっくり呟く僕に『なんか怖い』と震える花子。
流しには粥を食べたのかレンゲと器が入っていて、鍋にも簡単な玉子粥が入っていた。
僕は声を押し殺しながら泣いてシャワーを浴びた。
梅毒の情報を調べた。
梅毒はキスでも簡単に感染するらしい。
ああ、花子とのキスはお預けだな。
しかも妊婦の場合子供への影響も少なからずあるらしい。
明後日迄待ってられ無い、明日朝一にJCHO東京新宿メディカルセンターに行こうッ!
あらかた洗い物を済まし、花子の隣で眠る事にした。
翌朝1月10日、豪雪。
僕は花子を連れてJCHO東京新宿メディカルセンターにBMWを走らせた。
まずBMWの中で花子に語る。

『花子』

『何?』

『今日は先週の血液検査の結果を聞きに行くよ?』

『明日じゃ無いの?』

『花子の命に関わる事だからね』

『………?』

『花子、君は…』

迷わず躊躇わず真っ直ぐ花子を見据え告げた。

『HIVだ』

『………』

『ヒト免疫不全ウイルス…通称HIVウイルスに感染してる』

『………』

『子供も危険だ』

『赤ちゃん…死んじゃうの?』

『死にはし無いけど、母子感染のリスクがある。来週から抗ウイルス薬の治療だよ』

『なんでハルくんは知ってるの?』

やけに花子は冷静だった。
泣き喚くかと思っていたが、妙に悟り切っている。

『先週医者から聞いたんだ。けど、誤診って事もあるらしい』

『なんかさ…』

『うん?』

『なんかさ、順調過ぎたんや』
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