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人魚島
第10章 東京編
『春樹の奴が幸せにしてくれるんやろ?』

『うんッ』

『姉貴と式行くけんや、必ず呼べや?』

シンイチは酔っているのか饒舌だ。
顔を赤らめながら大吟醸を傾けている。
それはミケさんも同じ様でミケさんもいたく美味しそうに大吟醸を傾けている。
花子は麦茶割りだ。
僕はロックで頂いている。
しかし、ふと不意にスクナヒコナの死の宣告が頭を過る。
僕は大吟醸を傾けながら笑う花子を見詰めた。
視線に気付いたの花子が『なぁに?』と振り返る。

『なんでも無いよ、見とれてただけさ』

『そっかぁ』

頬を僅かに赤らめながら花子がニッコリ微笑む。

『うちかて式呼んでや?』

ミケさんがフンワリ笑って告げる。

『当たり前やん』

花子がミケさんに酌しながら言う。

『楽しみだねぇ、春樹くんはタキシードなん?袴なん?アンタスラッとしてはるけん、袴似合いそうやな?』

『あ、はい、花子がドレスならタキシードですよ』

『うちはウェディングドレス着たいなぁ』

花子が笑って言う。
そうだ、花子はウェディングドレスが着たいのだ。

『なら、春樹くんはタキシードやなぁ』

『似合うぞ、きっと』

饒舌なのか、何やら誉めちぎるシンイチ。
しかし、僕は死の宣告が頭を過り落ち着いて居られ無い。
ソワソワしながらも花子を見詰める。
花子が再度『なぁに?』とフンワリ微笑む。
僕は『いや』だとか『何も』だとか言って誤魔化す。
花子はキョトンとしている。

『そろそろビールやな』

『呑み過ぎだよ』

ビールを所望するシンイチに僕は苦笑いで制した。

『そろそろお開きだよ』

鍋は底を尽き、食べる物はもう既に一切無い。

『仕方無ぇな、ミケさん、帰るで』

『二軒目行こうか?』

『ええよ』

すっかり意気投合したシンイチとミケさん"二軒目"に行くらしい。
僕と花子はベランダから顔を出して二人に手を振るった。
また不意に雪が降っていた。
寒い。

『花子、片付けするから待ってて』

『あたしがするけんな』

『梅毒で手が洗剤で痛むだろ?』

『あ、そっかぁ、ハルくんごめんな』

『ビール辺り呑んで待ってて?映画観てなよ?洋画劇場テレビ番組でやってるだろ?』

『ありがとう、ハルくんッ』

花子は目をキラキラさせながら洋画劇場を眺め始めた。
皿洗いをし、布巾で拭いて棚にしまい、花子の隣に座った。
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