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偶然が運命にかわるとき
第3章 きっかけ

すると神谷さんが立ち上がり
私の方へと向かってきた。
「今回は本当によく頑張った。」
と言って手を差し伸べた。
神谷さんが私を褒めるなんてことは
ここ数年なかった。
私も手を差し伸べ握手を交わし
感謝の気持ちを込めて反対の手も添え
両手で神谷さんの手を包んだ。
「ありがとうございます。」
そう言うと私の目からは涙が溢れた。
この仕事をしてきて泣いたことは
今までで1度もない。
そんな私を見た神谷さんは
少し驚いていたものの私が握る手を離さず
もう片方の手で頭を撫でてくれた。

