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偶然が運命にかわるとき
第1章 はじまり


”ガサッ”

がさつに買ってきてくれた袋を置き

鼻をつまみながら


「帰ってないんだろ?
なんか…この辺臭うぞ…?」


と余計な一言をいつも添えてくるが

それが神谷さんの照れ隠しだと私は知っている。


それでも私も素直にありがとうを言うのは

照れくささもありぶっきらぼうに


「どうせ臭いですよ!!本当一言余計!!
…でもこれ、ありかとうございました~」


と袋に指を指してアッカンベーを最後にして

嫌味っぽく返した。

それを見た神谷さんも舌だけ出してやり返し

そのまま背を向け席についた。



神谷さんは歳も5つ上だが

専門学校のときからバイトで

お世話になっているので

変に敬語を使うと気持ち悪がられる。


働く皆がそんな感じでルーズなので

上下関係うんぬんは誰も言ってこない。

むしろ私たちの絡みを待っていましたと

言わんばかりにニヤニヤ見ている。


けれど仕事の時はメリハリを付けたいので

一応!!敬語を使っている。



私はこの神谷さんのいう人のおかげで

デザイナー業界に入れたと言っても過言ではない。


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