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偶然が運命にかわるとき
第6章 彼の知らなかった私

神谷さんは何を想いながら
今私の手をひいているのか…
知りたい気持ちと
同じ気持ちじゃなかったらと
知りたくない気持ちも溢れる。
それがわかるのにそう時間は
かからなかった…
高層マンションのエレベーターに
乗った瞬間。
引かれる手は引き寄せられ
あっという間に身体は神谷さんの
胸の中にあった。
「お前さ…なんで抵抗しないの?」
今日……いや、出会ってから初めて聞く
切ない神谷さんの声。
「俺だって一応男なんだけど…」
その声に私の胸はまた高鳴る…
私は身体を少し離して神谷さんの
顔を見上げた。
「わ…わかってます。
私もどうしたらわからない…
だって…!!」
ーーーーチーンーーーー
タイミング悪くエレベーターは
目的の階につく。
少し沈黙したあと神谷さんは
ため息混じりに笑った。
その笑顔に私もつられて笑ってしまい
お互いの緊張が少しほぐれた。

