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溶かされてみる?
第10章 惑う心と誘う夢
さっむいなあ…
冷え切った手に息を吹きかけながらあたしは帰り道を歩く。
あれ…あそこにいるのって…
暁翔さん…??
暗めの茶色の髪がなびき、煙草をふかしているのは紛れもなく暁翔さんだった。
「きたか」
「あ、暁翔さん!! なんで…」
煙草を公衆の吸殻入れに捨て、あたしの方に暁翔さんは歩いてくる。
「今帰るとこだったから、なんとなく暗くなるかなって思って」
あたしがこの前暗い時間に帰って変な男にあったから…
肝心なあたしがこんなんだし!何やっちゃってんのほんと!
「ごめんなさい…心配させた上に寒い中待たせてしまって」
「別にいい」
そう言って歩き出す暁翔さん。
あたしはその横を歩きながら
「…いつから待ってたんですか??」と聞く。
「ついさっきだ」
その割には鼻とか頰が赤くなってる。
きっと長い時間外で待っててくれたんだろう。
あたしは近くで自動販売機を見つけ、ホットのコーヒーを買いに走った。
買って走って戻ると、暁翔さんは不思議そうな顔で待っていた。
「暁翔さん!」
「お前急にどっかいく「これ!!」
あたしは暁翔さんの手にコーヒーをもたせ、あたしの両手でその手を包んだ。
「これ…」
「こんなものですみません…、多分長い時間待っててくれてたと思ってせめてあったかいものをと思って…」
あたしは暁翔さんを見ながらそう言った。
「お前…いきなりこんなこと…」
「へ…?」
暁翔さんは照れていたのか顔を背けながら何かボソボソと言っている。
「暁翔さん…?」
「ありがたくもらうよ、サンキュ」
あたしの頭を撫でながら暁翔さんはあたしに微笑む。
どっから急に湧き出た、その色気…
あたしは少し恥ずかしくなって包んでいた手を離して、暁翔さんの隣を歩く。