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溶かされてみる?
第10章 惑う心と誘う夢
あたしたちは少し寄り道をした。
「暁翔さんと歩くってなんか新鮮です。」
「ん?」
あたしがさっきあげたコーヒーを飲みながら、暁翔さんはあたしの方を向く。
「なんかこの道懐かしいなあ〜」
朧げだがこの通り、見覚えがある。
花壇が多くて、大きい木があって…
…
「まて…!恋!!…」
あたしは呼ばれた気がして後ろを振り返る。
けどそこにはあたしたちの通ってきた時と変わらない
ただの道しかなかった。
「恋?」
そばで心配そうに顔を覗く暁翔さん。
さっきの感じ…夢に似てた。
「最近よく夢を見るんです」
「夢…?」
不思議なものを見るような目で暁翔さんはあたしの話を聞く。
「誰かに必死に呼ばれる夢…」
今夢と似たような声が聞こえて…と続けて言うと暁翔さんはあたりの道を見て一瞬ハッとしたような目をする。
なにか…あるの?
「暁翔さん…?」
あたしは気になって暁翔さんに呼びかける。
「…きっと勘違いだ。」
それ以上なにも言うことなく暁翔さんは先に進んでいく。
何かを隠してる…??
直感であたしはそう思ったが、有無を言わさない暁翔さんの背中を見てそれ以上は何も聞けずそのまま家へと帰った。